100年生きるために~梅雨の養生~

梅雨

 

二十四節気で言うと

立夏」(5月のこどもの日頃)から

小満」「芒種」と進み

陽のピークである「夏至」を越え

そこから1つ先の「「小暑」ときて

大暑」(7月末日頃)まで

 

★梅雨に値する「長夏」★

5~6月頃は梅雨で、

日本の梅雨に当たる時期のことを

中国では「長夏(ちょうか)」といいます。

 

「陰消陽長」「陰陽平衡」

日照時間が長くなり、夜が短くなってきます。

陰と陽のエネルギーが平衡するときです。

雨が降ることで自然界に潤いを与え、

植物が豊かに育つ生養の季節です。

庭や畑には雑草が生い茂る頃で、

太陽と水と大地のエネルギーは、

果てしない生命力を与えると感じます。

 

★梅雨時期の五行は「土」★

土は大地。

あらゆる事物の基盤となります。

私たちが降り立ち踏みしめる大地がぬかるんでいては、不安定で、

飛び立とうにも力強く蹴り上げることができません。

しっかりと根を張り生きる人は土の気質を持つイメージがあります。

 

★梅雨は「湿」★

梅雨は湿度が増して、わたし達の身体にも湿気が溜まりやすくなります。

身体や頭が重だるい、むくみ、食欲不振、痰がたまりやすくなる、冷えなどの症状に注意が必要です。

身体だけではなく、心も風通しが良いと感じる生活環境を心掛け、

「流れのままにいきましょ」と思い悩むことは避けましょう。

 

★夏の五臓は「脾」★

梅雨の季節は消化器系の脾と胃の働きが活発になります。

 

活発になるのは何故でしょう?

身体の脾と胃の必要性が高まるためです。

身体に溜まった湿を代謝し、

食物からエネルギーや血液などを生成する「水穀の精微」をつくり

梅雨の先にある

夏・秋・冬そして春までぐるりと1周

できる限り首尾よく過ごすためだと思っています。

 

脾は湿を嫌うため、冷たい物・なま物・水分を多く取ると脾胃働きが悪くなります。

脾胃は生命エネルギーを作り出す基盤とも言えるので、

ここが弱ると途端に元気が出なくなります。

 

★梅雨の味は甘味★

甘味は脾を養う働きがあります。

甘味は湿が溜まりやすい性質があるので、取り過ぎに注意します。

 

調味料の砂糖が固まってしまうのもこの性質で、

糖質を摂りすぎる方で体重を気にされる方が、

脂肪の他にも水分まで溜め込んでいたりするのも、

この性質が元になっていると考えて良いでしょう。

 

できるかできないかは、望むか望まないかは別として、

何事にも程々に、バランスが大切ということですね。

 

 

献立の立て方→私が提案する3大栄養素を意識します。

 

sayosalada.hateblo.jp

 

 

梅雨の献立作成ポイント

 

ポイント①

~温め効果と甘味の食材を使用する~

脾の働きは暖かい環境の中でスムーズに働きます。

「益気健脾」という作用のある食材を選びましょう。

 

ポイント②

~甘味の使い方に注意する~

甘味は湿を溜めやすいので摂りすぎに気を付けます。

 

パンだけ、おにぎりだけの朝ごはんにしていませんか?

ヘルシーなイメージのバナナとヨーグルトの朝食にしても似たようなものです。

炭水化物や糖質は欠かすことのできない優秀な栄養素ですが、

他の栄養素と組み合わせることで、より適切な働きをしてくれます。

 

ポイント③

~香りのある食材を使用する~

芳香性のある食材は温め効果のある食材が多く、

気の巡りを良くして、湿を取り除く作用があります。

 

ポイント④

〜気の流れを促し利尿作用のある食材を使用する〜

「行気・利湿」といって巡りを良くして湿を取り除く作用です。

利尿作用のある食材は冷え性、虚弱体質の人など

食べすぎないようにしましょう。

 

「食べすぎないように」

とは、人によって異なるので、

私は「連続して食べない」ことを意識してもらえれば良いのかなと思います。

休肝日」に似た考えですね。

 

ポイント⑤

〜冷たい物・なま物・甘いものは控える〜

湿を溜め、脾を傷めるので控えます。

 

特記されていませんが、

脂っこいものも、胃酸の分泌を過剰にし、

胃の消化機能を低下させるので控えると良いと思います。

 

 

梅雨時期に用いる食材セレクト(下線部    はビタミン・ミネラル類としても可)

作用

栄養素別食材

ちょこっとアドバイス

炭水化物

たんぱく質

ビタミン・ミネラル類

その他

①   益気健脾

 

 

 

ご飯

じゃが芋

さつま芋

長芋

とうもろこし

かぼちゃ

大豆

鶏肉

牛肉

たら

イワシ

かつお

さば

スズキ

椎茸

グリンピース

いんげん

キャベツ

 

 

 

脾胃の働きを強くします。

②   芳香化湿

 

 

玉ねぎ

大葉

山椒

みかん

さくらん

 

ジャスミン

温め効果と、香りの揮発効果で湿を取り除きます。

③   清熱解暑化湿

そば

大麦

豆腐

しじみ

はまぐり

もやし

セロリ

きゅうり

せり

 

お茶

苦味・身体を冷やす性質の食材で熱と湿を排泄します。

④   行気・利湿

 

ハト麦

はも

生姜

ねぎ

らっきょう

大葉

にんにく

大根

冬瓜

小豆

みかん

ジャスミン

湿が溜まると食欲低下・腹部膨満・疲れ・下痢などの症状が現われます。これらは湿を排出して巡りを良くしてくれます。

 

薬膳的・梅雨の献立例として

使用した食材は色付けしています。

 

①ざるそば(そば粉多めが効果的)

 薬味いっぱい(ねぎ、大葉、生姜、みょうがなど)

②鶏肉の山椒風味照り焼き大根おろし添え

(山椒は粉末でも、葉でもOK)

③ぶっこみラタトゥイユ

(玉ねぎ・ピーマン・椎茸・セロリ・大麦・にんにく・トマト缶など

炒めて、トマト缶と固形コンソメで煮るだけ。

・・・冷蔵庫の残り野菜を取り交ぜてぶっこんじゃえます。)

③茹でキャベツとコーンのコールスローサラダ

 

炭水化物ざるそば

たんぱく質鶏肉山椒焼き

ビタミン・ミネラル類→ざるそばの薬味

ビタミン・ミネラル類ラタトゥイユ

ビタミン・ミネラル類コールスローサラダ

 

※テキストに記載のある春に用いられる食材にはありませんが、

旬の食材は、養生効果があると思っています。

梅・鮎・アジ・なす・びわなどですね。

 

 

「憂い」「思いすぎ」

脾の働きにダメージを与えるそうです。

 

梅雨は湿気が多く、髪の毛もまとまらないし、

梅雨時期はどうしたって憂鬱さを触発してんじゃん!

なんて思うけど、

 

苦難だと思っていることでも、

角度を変えてみれば、

とても有意義なことだった、

実は必要なことだった、

ということはいくらでもあって、

 

雨が降るから美味しい農作物が実り、

私たちの生命が潤い満たされ、

 

嫌だと思っていた梅雨の雨

天からの恵みだったと気が付くのは、

後になってからです。

 

私たちの人生行程もきっとそんな感じで、

今の憂い・思いすぎる現実は、

後になってみれば、

自分の成長のために必要な

天からの恵みだったと思えることだと思います。

 

梅雨は生養の時期。

後に花開かせため、飛躍するため、

コンディションを整え準備するときです。

 

長くまとまりないようになってしまいましたが・・・

表を参考にして旬のものを取り入れれば、

アバウトですが、

面倒じゃない続けられる

薬膳効果のある献立に仕上がるかと思います!