100年生きるために~春の養生~
春
二十四節気で言うと
「立春」(2月の節分明け頃)から
「穀雨」(4月末日頃)まで
★「陰消陽長」★
日照時間が長くなり、夜が短くなってきます。
寒さが和らぎ、暖かくなってきます。
お日様の光を感じると
自然と気持ちも明るくなって、
お出掛けしようかなと行動力が出てきます。
★春の五行は「木」★
春は陽気を育てて生長させる季節。
木には生長・発散・柔軟・伸びる特徴があります。
向上心があり、常に大きな目標を掲げて立ち向かう人は、
木の気質を持つイメージがあります。
★春は「風」★
春になると東風が吹き、新芽が出て、自然界を生長させます。
風は事物を勢い付けて活性化させます。
向かい風になるか?追い風になるか?
どちらにしても結果的に生長に導かれます。
★春の五臓は「肝」★
肝は鬱状態を嫌い、伸びやかなことを好むので、木に属します。
春は肝の機能が高まり、精神情緒が興奮しやすくなります。
情緒が刺激されウキウキした気分にもなれば、
怒りっぽくもなる。
春の情緒変化は肝の機能の高まりからでもあります。
★春の味は酸味★
酸味は肝に入りやすく、
適量の酸味は肝を養い、
また、酸味は肝の高ぶりを抑制してくれます。
春には柑橘類が多く出回りますが、
自然の恵みは、私たちにピンポイントで必要なものを与えてくれます。
献立の立て方→3大栄養素を意識します。
春の献立作成ポイント
ポイント①
~身体を温める食材を選ぶ~
暦の上では春ですが、まだ寒さの残る時期なので、
身体を温める辛味・甘味の食材を選ぶとgood。
ポイント②
~酸味を上手に取り入れる~
適量の酸味は肝を養い、
また、酸味は肝の高ぶりを抑制してくれるため、
興奮しすぎる精神情緒を抑えてくれます。
注意事項として、
酸味は身体を温める機能も抑制されるため、
冷え性・虚弱体質の人は控えた方が良く、
若者・健康な人・身体が丈夫な人・高血圧の人・怒りっぽい人には
多めに使ってよいでしょう。
ポイント③
~補う×発散~
身体を養い、体質を増強させる補養作用のある食材(下記④)と、
発散させる効果のある食材(下記①)をともに使用すると、
臓腑機能を高める気の滞りを防ぐことができます。
春に用いる食材セレクト(下線部 はビタミン・ミネラル類としても可)
作用 |
栄養素別食材 |
ちょこっとアドバイス |
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炭水化物 |
ビタミン・ミネラル類 |
その他 |
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① 辛温発散
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ねぎ 生姜 みょうが しそ・パクチー |
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身体を温める効果がある。 まだ寒さの残る早春に適した食材。 |
② 辛涼発散 |
葛粉 |
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食用菊
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ハッカ |
身体を冷やす効果がある。 晩春に適した食材。 |
③ 清熱瀉火解毒 |
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豆腐 |
白菜 セロリ きゅうり トマト |
お茶 |
苦み・甘味を持つ食材が多く、身体の熱を取り除く。 ニキビや吹き出物を抑える効果がある。 |
④ 益気養血補肝 |
とうもろこし 長いも じゃが芋 かぼちゃ 栗
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大豆 牛肉 鶏肉 豚モツ 豚足 レバー |
人参 ほうれん草 キャベツ 椎茸 ぶどう ライチ |
落花生 松の実 蜂蜜
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臓腑の働きと血を養い、肝を補う。 |
⑤ 滋陰清熱 |
小麦 |
豆乳 牛乳 うずらの卵 鶏肉 豚肉 鴨肉 貝類・牡蛎・鮑 かに くらげ |
ごま |
臓腑を潤し、体内の熱を取り除く。 |
炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラル類を意識した
「薬膳的・春の献立例」
使用した食材は上記表に色付けしました。
①あさりの和風ドリア
(具材:あさり・ほうれん草・椎茸・ねぎ・生姜、
牛乳でホワイトソース)
②トマトとお豆腐のサラダ・みょうがのせ
(お好みのドレッシングで)
③長いもソテー・三つ葉と松の実トッピング
①②③あさりの和風ドリア
→炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラル類同時にとれる。
・炭水化物:ご飯
・たんぱく質:あさり・牛乳
・ビタミン・ミネラル類:ほうれん草・椎茸・ねぎ・生姜、
②③トマトとお豆腐のサラダ・みょうがのせ
→たんぱく質:豆腐
→ビタミン・ミネラル類:トマト・みょうが
③長いもソテー・三つ葉と松の実トッピング
→ビタミン・ミネラル類:長いも・三つ葉・松の実
→ビタミン・ミネラル類
※テキストに記載のある春に用いられる食材にはありませんが、
旬の食材は、養生効果があると思っています。
筍、そら豆、グリンピース、柑橘類など・・・。
春は芽吹きの季節なので、
筍、そら豆、グリンピース、タラの芽といった
芽吹きのエネルギーがぎゅっと詰まったものが出回るのでしょう。
春はきっと、
何かをスタートするのにふさわしい季節で、
何かをスタートさせるだけのエネルギーを、
自然から頂ける季節ということなのでしょう。